イタリアワインを名実ともに世界トップクラスにまで引っ張りあげたジャコモ氏は、その後も「ソライア」「ティニャネッロ」など多様性に満ちた銘酒を手がけ、ワインメーカーから引っ張りだこの彼の名は、まさに天才エノロゴにふさわしいものでした。しかしジャコモ氏の真の姿は努力の人。地道な長年の研究こそが最上級ワインへの近道であることを、彼は娘のイラリアにエノロゴ人生の最終章として伝えます。偉大な父から贈られたブドウ畑は、わずか1.5ヘクタール。家庭菜園かと見紛うほどの小さな土地でつくるワインはたったの1種類。極めつけは、ボトルラベルに父ジャコモ氏の名前を入れないというストイックな約束でした。 |